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警備憲兵(司法憲兵)

台湾には、司法警察官に該当する勤務の憲兵を「警備憲兵」という、日本語に言い換えれば「司法憲兵」の方が適切である。

台湾の刑事訴訟法第二百二十九条第一項第二款、第二百三十条第一項第二款および第二百三十一条第一項第二款には、検察官は、憲兵隊長官、官長、 下士官及び兵士に対し、捜査の協力を求めるため必要な一般的指揮を行うことができ、又自ら犯罪を捜査する場合において必要があるときは、 憲兵人員を指揮して捜査の補佐をさせることができると定めている。

すなわち、台湾全国各地の県市憲兵隊の「警備憲兵(司法憲兵)」は、刑事訴訟法の定めるところにより、司法警察職員として職務を行うことができ、 一般司法警察官と同じ仕事内容又は権限をもっている。

台湾の警政署(警察庁)が1985年に「霹靂小組(SWAT)」と 「迅雷警網(機動警ら隊)」の設立や、1990年に「保安警察総隊(警察機動隊)」 の拡大するまで、憲兵部隊は管轄区域内における凶悪犯罪の刑事事件や暴力集団の武装闘争事件などに対して、もっとも主力となる対策部隊でもあった。

1986年に軍事戒厳令の廃止前後に「憲警支援協定」【注】が定められ、憲兵隊が警察の治安維持勤務を支援する体制がつくられた。90年代に入ると、 警察機動隊の拡大と伴ない、憲兵隊も徐々に治安警備の業務から手を引いたが、いまたに旧暦のお正月において恒例の治安警備特別キャンペーン「春安演習」 の実施が一年中に最大の憲兵警察合同勤務とされている。

いま各地区憲兵隊は民間司法事件に介入しないような姿勢をしても、検察官の指揮下に積極的に刑事犯罪事件の捜査や補助を行い、例えば2000年から2002年の2年間に、 全国における刑事犯罪の検挙数は3673件、そのうち司法憲兵によるものは3602件にのぼった。依然として台湾の治安維持において不可欠の一環である。

一方、軍事警察の勤務について、主な軍紀維持以外に、先導車勤務、交通誘導警備、軍用装備品運送の護衛、外事業務、軍民トラブルの対処なども含まれている。

また、平時の警備体制には、日本の地下鉄サリン事件を参考にし、反テロ機動小隊の編制と訓練、各官舎や軍事施設の安全確保などが実施されている。

戦時において、それぞれの戦闘区域司令官の指揮下に置かれ、戒厳令の実行者として、暴動弾圧、治安維持はもちろん、交通規制、遊兵管理、脱走兵捜査、捕虜処理、 難民疎開など憲兵本来の任務以外に、戦闘の参加支援、拠点の防衛警備、重要人物の護衛も必要に応じて行われる。

     
【注】《憲警支援協定》

  内容とは、「デモ隊の対処」、「脱走兵の取り締まり」、「治安の維持」、「テロ事件の対策」、「特種警衛勤務」、「その他」の6つである。

一.「デモ隊の対処」:「集会遊行法」に基づき、該当警察署がその責任を負える。状況に応じて警察機動隊を第一線部隊、 憲兵部隊を予備部隊として配置すること。なお、重点地域(総統府、大統領官邸)の警護は憲兵隊の責任とされること。

一.「脱走兵の取り締まり」:特に重大事件(武装脱走兵)の場合、一般人に巻き込まないようにその地域の警察署と連携すること。

一.「治安の維持」:警察がマフィアの検挙、麻薬関係者の捜査や逮捕、パトロール、路中検問などを行う場合、必ず該当の地区憲兵隊と事前連絡すること。必要に応じ、憲兵隊が支援すること。

一.「テロ事件の対策」:各県警の警察局(警察本部)および警政署維安特勤隊(警察庁特殊部隊)がその任務を負え、 憲兵特勤隊(特殊部隊)および地区憲兵隊が国防部の指示のもとで支援提携すること。なお、軍事施設が事件現場の場合、 該当憲兵指揮部(憲兵隊司令部)がその責任を負えること。また、中央官舎官邸が事件現場の場合、首都衛戍指揮部(憲兵司令部)がその責任者であること。

一.「特種警衛勤務」: 「内衛区」の道路交差点や周辺ビルの出入り規制に必要な人員配置は該当警察署が憲兵隊に支援すること。

戒厳令時代の司法憲兵(動画提供:ttt0920) 70年代後半の国営テレビに憲兵隊が犯人を銃殺刑に連行するニュースである。死刑囚特有な後手縛りや最後の食事などの映像が流れている。 当時に民間人の強盗事件は軍事裁判に送検され、すみやかに死刑判決が下った。

 
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