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総 統 府 憲 兵 第 211 大 隊

By:DDS

一部個人写真提供:阿布拉さん(予備役憲兵下士官)



1950年に蒋介石が日本統治時代の台湾総督府を総統府とし、再び台湾で総統に就任した。その付近には諸官庁が集まり、いわば台湾の霞が関である。


本来、総統府の警備体制は2つの異なる部隊、すなわち国防部所属の警備連隊第1中隊と総統直轄の側近警備大隊から構成されていた。 1954年に国防部はアメリカ軍を参考にし、国軍の再編が実行された。そこで各軍事官庁の警備任務が憲兵司令部に統合され、それぞれの官庁警備隊が独立憲兵大隊に改編されることになった。総統府をまもる2つの部隊もこの時に合併され、憲兵独立第1大隊の部隊番号が与えられた。そして1956年に憲兵第211大隊と改称し、50年間変更なく現在まで至る。 政府中枢部を守る伝統から「鉄衛営(鉄の砦のような部隊)」といわれている。


歴史写真建国記念日勤務
交通整理勤務


1986年に軍事戒厳令が解除されるまで、総統府弁公室、国防部、参謀本部、総政治作戦部とも総統府の中に設置されていた。総統府を中心に、周辺の諸官舎を含めての博愛特別警戒区と称する保安防衛区域の責任は、統括する国防部総務局警衛組(警衛班、班長憲兵大佐)と、執行する憲兵第211大隊にあった。



衛兵勤務


総統府の東側にある台北賓館は、日本統治時代の台湾総督官邸であり、国民党が台湾に移転してから迎賓館として使用し、博愛特別警戒区の入り口でもある。ここで憲兵第211大隊の一中隊が前哨所を設置し駐在していて、賓館隊といい、さらに台北憲兵隊も一中隊の武装憲兵が支援兵力として敷地内に常駐していた。外賓の警護以外に、有事の際に特別警戒区の第一線部隊でもあった。


賓館隊



1990年代前半まで、この周辺に大型車や単車の進入と救急車や消防車のサイレンに厳しい規制があって、私服憲兵隊があちこちで不審な人物や車両などを監視していた。毎朝六時に賓館隊の隊員20名が銃剣を付けた七九式小銃(国産のモーゼル小銃、日中戦争中に国府軍が採用)を構え、軍楽隊とともに台北賓館から総統府の正門まで行進し、国旗掲揚の儀式を行なっていたが、政権交代をきっかけに賓館隊と武装憲兵隊が撤収された。いま台北賓館は、国の一級古跡として一般公開されている。

周辺衛兵勤務
七九式小銃の衛兵勤務
機動隊・検問勤務



やはり総統府憲兵は「顔」な部隊の1つであるため、選抜基準もかなり厳しい。現行する徴兵システムには、陸軍入隊者から優秀なものが憲兵に選ばれ、その憲兵兵役者の中からさらに厳しい基準で第211大隊に配属され、いわゆる憲兵中の憲兵である。ところが台湾の民主化の進行と共に、総統府前広場は各民間団体デモの標的地になった。憲兵第211大隊の隊員は定番の衛兵以外に、これらの対策にも当たり、昼夜問わずに臨時増加の歩哨・検問、機動隊など長時間立つ勤務を強いられる。そのため、両足の静脈曲張やリウマチ性関節炎のハイリスク群とされている。 その防止策として、毎日5キロの持続走(20分以内合格)は欠かせない日課(1日1~2回実施)である。

訓練風景
国旗掲揚儀式



憲兵211大隊OBの思い出アルバム(MTV)
李登輝総統の在任中に、軍の影響力(クーデターを含む)を減らすため、総統府の中の軍関連組織が続々に移転された。 本来の国防部総務局警衛組(周辺警備)と侍衛室(元首警護)が総統府侍衛組(総統府側近警護班、班長変らず憲兵大佐)に改編し、総統府は単純な行政官庁となっている。しがしながら武装憲兵大隊による総統府の警備勤務とその伝統は残されてきて、今も総統府大門の衛兵交代と毎日の国旗掲揚の儀式が総統府憲兵隊によって行われている。ちなみに日本人観光客がなじみの忠烈祠や 中正記念堂の衛兵交代は陸海空軍海兵隊の儀仗隊であり、憲兵とまったく関係ない。






総統府:

日本統治時代の1919年に7年をかけ、完成した台湾総督府は90年を経ても依然として台湾の政治の中心である。第二次世界大戦末期、 米軍の空襲を受けて内部は全焼し、損壊したが、戦後修復が行われ、1948年旧態に戻った。そして蒋介石生誕60周年を記念し 「介寿館(介寿とは蒋介石の長寿を祝うという意味)」と名を改めたが、2006年にこの建物の名称を正式に「総統府」に改め、現在では国宝級古跡に認定されている。




台北賓館:

かつては台湾総督官邸、戦後は迎賓館として、数多くの政治家、VIPたち、例えば皇太子時代の昭和天皇、近年ではクリントン大統領や、 ダライ・ラマなどを迎え入れてきた建物である。 完成したのは1901年(明治34年)、すでに107年の歳月を経た。2000年から一旦閉鎖し、 4年間かけて修復工事が行なわれ、2006年に初めて国の一級古跡として一般公開された。



 
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